研修期間:平成13年11月21日(水)〜24日(土)

〜上海視察研修 報告編〜

河村電器産業株式会社
吉田 伸二


◆TILVA訪問◆




大きい事はいいことだ!! 「東洋一の短絡試験設備」

直流、交流とも短絡試験用設備の大きさにはびっくりさせられた。試験設備見学コースの順番もにくい。手動式や旧式の設備が多く、飽きてきたころにこの巨大なトランスを見せるのである。まったく上手い演出である。







見学途中には喫煙ルームが設けてあり、さっそく中国特有の煙草を勧めながらの会話(本来なら商談?)が始まった。残念ながら私は煙草を吸わないため外から眺めていただけであったが、お互いの距離が縮まっていく、なかなか良い雰囲気が感じ取れる一幕であった。
試験設備は旧式で手動式が多いが、中国の人件費や労働条件から考えると、現状ではベストマッチかもしれない。



熱烈歓迎!!「外国企業も大切なお客さま」

外国企業による試験依頼が多くなっているそうだ。外国製品の輸入量が年間30%の延びを示しており、特にヨーロッパから進出している企業が多いとの説明があった。
是非日本企業からの試験依頼もTILVAにと、お誘いがあった。中国には、他にも3社同等レベルの試験機関があるようで、試験申請の手伝いもさせて頂くので当試験場にどしどし試験を依頼してくださいと、熱心にお誘いがあった。
共産主義である中国の認識を変えざるを得なかったひとつの出来事であった。
上層部からの積極的な意識改革は、見習うべきところが多い。最近の日本の試験機関も、競争意識は出てきたようではあるが…。



ココは監獄か?「開閉耐久試験設備は、もと監獄の部屋?」

これは余談であるが、開閉耐久試験室がたくさん並んでいた場所は、よく映画で出てくる監獄を想像してしまうような光景であったと感じたのは、私だけであったのだろうか?
今回の旅行は、昼夜問わずまったく健全でした。何も悪いことはしていません!! ほかの方は知りませんが。



◆展示会見学◆



視点を変えれば、また違う興味が!

電子部品と工業用設備関係の展示会が、道を隔てた2箇所の展示会場で開催されていた。

私は部品調達と外国企業が中国市場参入の考え方の視点で見学したが、商談中心である外国の展示会はもってこいであった。
日本とは違う視点で見学できた事は、また別の意味でも発見である。



中国市場参入企業の考え方

ヨーロッパ最大手のキャビネットメーカであるリタール社で聞いた話を紹介したい。展示していた商品は、汎用品は中国国内で生産し、新商品や特殊品はドイツ本国から輸入しているとのこと。価格は中国生産と比較すると2〜3割は割高になるようである。実際にはもっと安く作れるのでは?
今、上海の製鉄工場のとなりにリタール最大の生産拠点を計画中とのこと。これが完成すれば、中国から 日本はもとより全世界にキャビネットが輸出されることになる。この発言は、リタールとしての中国の位置付け、しいては企業戦略がうかがえる事項である。
我々業界にとって脅威になることは間違いない。また、同じような考えの企業は、リタール社に限った事ではない。我々は工業会として、また一企業として、どう対応していくかを真剣に考える必要がある。HPや参画企業の存続をかけて、負けてなるものか!!





◆魅力ある町上海!!◆





 まだ10年は無限の市場を感じる町

7年前にホームパネル専門委員会から深せんの視察研修旅行に参加させて頂いた時と同じショックを受けた。今でもあのときの感動は忘れないが、上海は既に完成された町にもかかわらず深せんよりさらに躍動感と熱気がある町である。この先、少なくても10年は発展しつづける予感がする。
日本に帰ってきて、上海についてもっと知りたく本屋に立ち寄った所、中国に関する書籍がいっぱい出ていた。そんな中、やがて中国は崩壊する。5年後にその危機がやってくると日本企業に忠告していた本が目に留まったが、少なくとも私が短い訪問の間に感じ取った印象では、まだまだ発展し続ける とても魅力的な町であった。





疑問はビジネスチャンス



町を見ていると、至る所で疑問を抱く光景や出来事に遭遇する。たとえば交通ルールである。車、人、自転車が入り乱れての交通戦争である。こんな状況を放置していれば交通事故が起きないほうが不思議で、現に訪問中にも何度か事故現場に遭遇した。
また、いつも空はかすみがかかっているように澄んでいるときがない。たぶんスモッグや砂埃である。川にはごみがいっぱい浮いており、それを定期的にすくって掃除するそうだ。
10年後には、間違いなくヨーロッパや日本のように改善されるだろう。改善に必要な技術や機器が必ず必要になる。上海で感じた疑問は、すべて大きなビジネスチャンスにつながる。


おいしかった上海蟹

何事も事前の情報収集は大切である。今回参加のY氏は、海老 蟹が苦手である。
今晩の食事は上海蟹であると聞き、私は当然Y氏の横に席を確保し上海蟹を2匹平らげた。濃厚なみその味に満足した夜であった。







〜上海視察研修 日程編〜

<研修の目的>


 グローバルな視点での商品の動向を捉え、ビジネスチャンスを拡大する事は、大変重要な課題となってきております。
 このような中で社団法人日本配線器具工業会ホームパネル専門委員会は、5年ぶりの海外電設資材技術視察として上海視察研修の企画を行いました。

 今回の視察では、中国・上海の中国電気設備検測所 低圧電気検測センター(TILVA)の見学と、中国を代表する産業見本市の中国国際工業店の見学を行いました。

 電設業界に携わる皆様におかれましては、今後もこのような機会をご利用頂き、明日の技術開発、ビジネス拡大のヒントとしてお役立て頂きたいと存じます。

社団法人 日本配線器具工業会
ホームパネル専門委員会 委員長 伊藤保徳

<主な視察先>


■中国電気設備検測所 低圧電器検測センター(TILVA)
 中国機械工業部(日本経済産業に相当)の外郭団体でGB規格の適合試験と工場審査を行う機関で日本の電気安全環境研究所(JET)に相当する機関です。主として低圧の配線器具の評価試験を行い、CCIBマークとCCEEマークの適合試験、工場審査を行うと共に、IECの認証もできる機関です。

■中国国際工業展
 中国を代表する産業見本市で、資本財、工業用ロボット・自動化技術、輸送・運搬機器、表面処理、電子部品・コンピューター部品、電子製品製造設備機器、工業機械部品及び工業用品、高度放送技術、検査用設備機器等の9つの専門見本市で構成され、およそ300社の出展があります。

■上海市
 中国東端、長江河口のデルタ地帯に位置する中国最大の都市で、人口は約1,300万人。人口密度は中国第一位で、その6割は市区部に集中しています。1990年に中国政府が発表した対外開放政策により、国際貿易港である上海の役割は一段と大きくなり、特に浦東エリアの開発に重点が置かれ、その変貌ぶりには目をみはるものがあります。つい最近まで農村地帯が広がっていた一帯には近代的なオフィスビル、工場、銀行、大型デパート、高層マンションなどがところ狭しと立ち並び、今も建築中のビルは無数にあります。また市街の開発に伴って、悪名高き上海の交通渋滞を解消すべく、環状高速道路や地下鉄が相次いで開通。今年末にも新たな高速道路が開通する予定で、長年の悩みであった交通難はようやく緩和されたようです。

目次 月日
(曜)
都市名 時間 交通
機関
日程
1 11/21
(水)
関 西
関 西

上 海
09:15
11:15

12:30

JL793
関西国際空港集合。
日本航空793便にて、空路、上海へ。
上海到着。
2 11/22
(木)
上 海 9:30



午後
専用車 「中国電気設備検測所 低圧電器検測センター(TILVA)」見学
(〜11:30)

自由行動
3 11/23
(金)
上 海 終 日 専用車 「CIF(中国国際工業展)」見学
Shanghai Everbright Convention & Exhibition Center
4 11/24
(土)
上 海

上 海

関 西
午 前

14:50

17:55

専用車
JL794
出発まで自由行動。
空港へ。
日本航空794便にて、空路、帰国の途へ。
関西国際空港到着。解散。

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